【第38回 介護福祉士試験】介護の基本・第10問|施設におけるリスクマネジメントの基本

第38回(令和7年度)介護福祉士国家試験「介護の基本」第10問を解説します。施設における事故防止や安全管理に関する設問を通じて、「個人判断ではなく組織で対応する」というリスクマネジメントの重要原則を整理します。

第38回 介護福祉士国家試験 <介護の基本> 第10問

📝 問題文(出題情報)

次の記述のうち、介護老人福祉施設におけるリスクマネジメントとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

選択肢

  1. 安全対策担当者を置き、事故発生予防のための委員会を定期的に開催する。
  2. 家族からの苦情は、介護福祉職が、その場で解決する。
  3. 利用者の私物を壊したときは、介護福祉職の自己判断で弁償する。
  4. 入浴介助時のインシデントの報告は、職員間の口頭による伝達に統一する。
  5. 事故防止のため、地域のお祭りへの参加は控える。
正解:1(安全対策担当者を置き、事故発生予防のための委員会を定期的に開催する)

施設における事故防止や安全管理は、特定の職員の努力や経験則に頼るのではなく、組織全体の仕組みとして設計されているかどうかが問われる領域です。安全対策担当者を配置し、委員会を定期的に開催するという対応は、情報を特定の個人に留めず組織内で共有し、再発防止策を継続的に検討していく体制づくりそのものであり、リスクマネジメントの本質に合致しています。

❌ 他の選択肢が誤りとなる理由

誤りとなる選択肢に共通しているのは、対応が組織的な仕組みを経由せず、「個人の裁量」や「その場限りの判断」にとどまっている点です。

選択肢 誤りの理由(なぜ不適切か)
選択肢2
苦情をその場で解決
組織としての情報共有や手順を経ないまま個人が処理してしまうことを意味し、不適切です。苦情は本来、記録・共有され、組織として定めた手順に沿って対応されるべきものです。
選択肢3
自己判断で弁償
個人レベルでの処理にとどまっており不適切です。本来は施設への報告を経て、施設の規定や保険等に基づいた公的な手続きを取る必要があります。
選択肢4
口頭伝達に統一
インシデント(ヒヤリハット)報告を口頭のみで統一すると、記録として残らないため、後から内容を分析し再発防止に活かすことができません。書面による報告が原則です。
選択肢5
お祭りへの参加を控える
一見安全に配慮しているように見えますが、実際には利用者の楽しみや社会参加の機会を奪い、生活の質(QOL)を損なう結果につながります。「リスクゼロ」を理由に活動を制限するのは本来のリスクマネジメントではありません。

📌 講師のぼやき:整理の軸と試験対策のツボ

迷ったときは「個人で抱え込まず、組織で対応する」に立ち返る!

リスクマネジメントに関する設問で判断に迷ったときは、この原則を思い出してください。誤りの選択肢の多くは、形を変えてこの原則から外れた「個人判断」「その場しのぎ」の対応として設計されています。

また、「事故が怖いから活動させない」という発想は、一見安全対策のように見えても、本来のリスクマネジメントとは異なります。リスクを正しく把握したうえで、安全に活動を継続する方法を模索する姿勢が求められます。

📝 インシデント報告の基本

現場では、日々の業務に追われる中で報告書の作成が負担に感じられることもあるでしょう。しかし、「次の事故を防ぐために記録を残す」という目的を理解しておくと取り組み方が変わってきます。

  • 報告の目的: 再発防止と情報共有のため
  • 口頭報告が不十分とされる理由: 記録が残らず、後から原因分析ができないため
  • 報告を行う主体: 当事者本人が、客観的な事実を正確に書面で記録する

「なぜそうなるのか?」理由が分かれば試験は解ける!

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