介護医療院とは?費用目安(10〜20万)・メリット・廃止の真実

「医療的ケア」と「生活」を両立する終の棲家について、2026年最新の制度を徹底解説します。

この記事の結論・ポイント

医療と生活を一体で支える公的施設
  • 1. 介護医療院は「医療的ケアが必要な要介護者」のための公的介護施設です。
  • 2. 月額費用の目安は10〜20万円。公的な減免制度も利用可能です。
  • 3. 旧制度は廃止されましたが、介護医療院はその後継として国が推進する施設です。
医療的ケア

経管栄養・喀痰吸引・酸素療法などの継続的な医療管理

生活の場

食事・入浴・排泄などの日常生活支援とリハビリ

¥
公的な費用負担

介護保険適用で月額10〜20万円が目安。減免制度あり

介護医療院は、長期にわたって医療と介護の両方を必要とする方のための公的介護保険施設です。2018年に創設された比較的新しい制度で、かつての「介護療養型医療施設(介護療養病床)」の後継として位置づけられています。

💡 監修部より:2026年7月更新情報

本記事は、旧制度(介護療養病床)の廃止完了に伴う情報の適正化、および最新の介護報酬改定に基づく費用目安(実勢価格)への修正を行いました。参考文献は記事末尾に記載しています。

介護医療院と療養型病院の違い

どちらも医療ケアを提供しますが、目的が「生活の場」か「治療の場」かで大きく異なります。ご家族の状態に合わせて選択することが重要です。

比較項目 介護医療院 療養型病院 (医療療養病床)
主な目的生活の場(長期療養と介護)治療の場(医療的管理中心)
適用保険介護保険医療保険
医療体制医師・看護師配置(オンコール含)24時間医師・看護師が常駐
看取り対応可能(生活の一部として)可能(医療的処置として)
入所のハードル地域差があり待機が生じやすい病状により入退院の判断がされる

Ⅰ型・Ⅱ型の違い

介護医療院には2つのタイプがあり、旧制度のどちらの機能を引き継いだかで対応できる容態の重さが変わります。入所を検討する際は、必ず施設のタイプを確認しましょう。

Ⅰ型(医療強化)

旧・介護療養型医療施設に近い体制。容態が重く、より手厚い医療的管理が必要な方に対応。

Ⅱ型(生活重視)

旧・介護老人保健施設に近い体制。医療的ケアを保ちつつ、生活支援やリハビリの比重がやや高い。

他の介護施設との比較マップ

介護施設は種類が多く、「結局どれを選べばいいのか分からない」という声をよく聞きます。ここでは「医療対応の手厚さ」と「費用の目安」という2軸で、代表的な施設の立ち位置を整理しました。

費用高め 費用低め 生活重視 医療重視 特養 サ高住 有料老人ホーム 老健 介護医療院
介護医療院(この記事のテーマ) その他の主な介護施設

※費用・医療対応レベルは一般的な傾向のイメージです。個別の施設・地域により異なります。

比較項目 介護医療院 特養
(特別養護老人ホーム)
老健
(介護老人保健施設)
サ高住
(サービス付き高齢者向け住宅)
有料老人ホーム
(介護付き)
主な目的 長期療養+生活の場 終の棲家(生活重視) 在宅復帰へのリハビリ 見守り付きの住まい 手厚い生活支援
医療体制 医師・看護師配置 配置医(非常勤中心) 医師常勤 施設・外部連携による 施設による
入所条件の目安 要介護1〜5 原則要介護3以上 要介護1〜5 自立〜要介護(施設による) 自立〜要介護(施設による)
費用目安(月額) 約10万〜20万円 約6万〜15万円 約8万〜15万円 約15万〜25万円+介護サービス費 約15万〜35万円+入居金
想定利用期間 長期(終身も可) 長期(終身も可) 短期(原則3〜6ヶ月) 長期 長期
入所のしやすさ 地域差があり待機あり 全国的に待機が多い 回転が前提で比較的入りやすい 比較的入りやすい 入居金次第で入りやすい

※上記は一般的な傾向をまとめたモデルケースです。要介護度・所得・施設ごとの空き状況により実際の条件は異なります。

💡 選び方のヒント

「今すぐ在宅復帰を目指すリハビリ期間」なら老健、「終身の生活の場」を探していて医療的ケアの比重が高いなら介護医療院、比較的元気で自由度を重視するならサ高住・有料老人ホーム、と目的から逆算すると選びやすくなります。迷ったら地域包括支援センターやケアマネジャーに、要介護度と医療依存度を伝えて一緒に絞り込んでもらうのが確実です。

費用の目安と内訳

介護医療院の利用料は、「介護サービス費(1〜3割負担)+居住費+食費+日常生活費」で構成されます。有料老人ホームのような高額な「入居一時金」は原則不要です。

月額 10万円 〜 20万円 前後

※要介護度、居室タイプ(個室・多床室)、所得により異なります。

費用項目目安(月額)補足
介護サービス費
(自己負担1割の場合)
約2万〜4万円要介護度・施設のⅠ型/Ⅱ型により変動
居住費多床室:約1万〜2.5万円
個室:約5万〜6万円
居室タイプで大きく差が出る項目
食費約4.5万〜5万円1日3食・全国共通の基準額が目安
日常生活費約1万円前後理美容・おむつ代・嗜好品等
合計目安約10万〜20万円多床室・低所得軽減適用で下限に近づく

※上記は一般的なモデルケースの目安です。施設・地域・要介護度により異なるため、必ず個別の見積もりを確認してください。

  • 負担限度額認定制度: 市区町村民税非課税世帯など所得が低い方は、申請により食費・居住費の大幅な減額が可能です。詳細な所得区分はお住まいの市区町村窓口で確認できます。
  • 初期費用: 原則不要ですが、一部施設では敷金や預かり金を求める場合があります。

入所条件と対象となる方

介護医療院は公的な施設であるため、以下の条件を満たす必要があります。

1
要介護認定

要介護1〜5の認定を受けていること(要支援の方は対象外です)。

2
医療依存度

経管栄養・酸素療法・喀痰吸引などの長期的な医療管理が必要な状態であること。

3
在宅困難性

上記の状態により、自宅での生活継続が困難であると判断されること。

「廃止される」という噂の真相

⚠ 注意:廃止の噂は誤解です

廃止されたのは旧制度の「介護療養型医療施設」です(2024年3月末に完全廃止)。
介護医療院は、その公式な後継制度として国が整備・推進している現行の施設です。「廃止」ではなく「新制度への転換」が正解であり、今後も重要な役割を担います。

制度の移行の流れを図で整理すると、次のようになります。

介護療養型医療施設 〜2024年3月末で廃止
介護医療院 2018年4月創設・現行の後継施設

メリット・デメリットの客観的評価

入所後に後悔しないために、メリットだけでなくデメリットも把握しておきましょう。

✅ メリット

  • 高い安心感: 医療と介護が一体化しており、容態急変時や終末期まで対応可能です。
  • 経済的安定: 公的施設のため費用が比較的安価で、減免制度も充実しています。
  • 受入幅の広さ: 他の介護施設で断られやすい医療依存度が高い方でも入所可能です。

⚠ デメリット

  • 施設不足: まだ施設数が十分ではなく、地域によっては長い待機が発生します。
  • 居住環境: 病院を転換した施設が多く、個室が少ない(多床室中心)場合があります。
  • リハビリ頻度: 老健(介護老人保健施設)に比べると、リハビリの頻度は少ない傾向にあります。

施設探しと東京都の現状

東京都内でも整備が進んでいますが、特別養護老人ホーム等と比較すると施設数は限られています。正確な最新の施設数・空き状況は、以下の公的な情報源で確認するのが確実です。

📍 確実な探し方
  • 公的検索サイト: 「とうきょう福祉ナビゲーション(福ナビ)」での条件検索・最新施設一覧の確認。
  • 地域の相談窓口: 地元の「地域包括支援センター」で最新の空き状況やリストを入手。
  • 病院の連携窓口: 入院中であれば、病院の「ソーシャルワーカー」に相談するのが最もスムーズです。

よくある質問(FAQ)

介護医療院の費用の目安はどのくらいですか?

月額費用の自己負担目安はおよそ10万円〜20万円前後です。要介護度や所得、居室タイプ(個室・多床室)によって変動しますが、所得が低い方は負担限度額認定制度による減額が受けられます。

介護医療院が廃止されるという噂は本当ですか?

いいえ、誤情報です。廃止されたのは旧制度の「介護療養型医療施設」であり、介護医療院はその正式な後継として国が整備を推進している現行の公的施設です。

認知症があっても入所できますか?

はい、可能です。ただし、認知症の周辺症状(BPSD)が激しく、専門的な精神科ケアが必要な場合は、認知症専門の施設や病院が推奨されることもあります。身体的な医療管理が主目的であれば介護医療院が適しています。

敷金や礼金はかかりますか?

公的施設のため、原則として「入居一時金(礼金)」はかかりません。ただし、退去時の原状回復費用として「敷金(預かり金)」を数万円〜設定している施設は存在します。契約前に必ず確認しましょう。

参考文献・出典
  • 厚生労働省「介護医療院とは」
  • 厚生労働省「介護療養病床・介護医療院のこれまでの経緯」
  • 厚生労働省事務連絡「介護療養型医療施設の廃止に伴う基準生活費の算定における留意点について」(令和6年3月29日)
  • とうきょう福祉ナビゲーション(東京都福祉保健局)