【第38回 介護福祉士試験】介護の基本・問11|多くの人が間違える!レジオネラ菌の感染対策

第38回介護福祉士国家試験「介護の基本」問11を解説。介護現場で頻出するレジオネラ菌の生態(滞留した温水で増殖)と感染経路(エアロゾルの気道吸入)を押さえ、他の感染症対策との引っかけを見破るロジックを整理します。

第38回 介護福祉士国家試験 <介護の基本> 第11問

📝 問題文(出題情報)

次の記述のうち、介護現場におけるレジオネラ菌の感染対策として、最も適切なものを1つ選びなさい。

選択肢

  1. 感染者の衣類は、熱湯で煮沸消毒する。
  2. 提供する食品は、加熱調理を徹底する。
  3. 循環式浴槽は、塩素系薬剤を使用して消毒する。
  4. ドアノブは、次亜塩素酸ナトリウム液で消毒する。
  5. 家庭用加湿器のタンクの水は、常に貯めておく。
正解:3(循環式浴槽は、塩素系薬剤を使用して消毒する)

レジオネラ属菌は、20〜50℃の温水かつ水流が滞留する環境(循環式浴槽、加湿器タンク等)でバイオフィルム(生物膜)内に増殖します。浴槽内の湯水や配管設備を塩素系薬剤(遊離残留塩素濃度 0.4mg/L以上)を用いて定期的に消毒することが、菌の発生・増殖を防ぐための基本かつ最も有効な対策です。

❌ 他の選択肢が誤りとなる理由(感染経路のズレ)

本問の選択肢1・2・4は、「感染対策としては正しい処置」ですが、「レジオネラ菌の感染経路と一致していない」ため誤りとなります。

選択肢 本来有効な感染経路 レジオネラ対策として不適切な理由
1. 衣類の熱湯煮沸 接触感染対策
(疥癬、ノロウイルス等)
衣類に付着した菌が人を介して感染する(接触感染)ことはありません。そのため衣類消毒は対象外です。
2. 食品の加熱調理 経口感染対策
(食中毒、O157等)
汚染された食品や水を飲むこと(経口感染)では発症しません。水しぶきを吸い込むことで成立する疾患です。
4. ドアノブの消毒 接触感染対策
(インフルエンザ等)
手すりやドアノブなどを介して感染することはありません。環境表面の消毒では感染環を遮断できません。
5. 加湿器の水を貯め置く 誤った対応
(菌増殖を促進)
水を貯め置くと水温上昇や停滞によってレジオネラ菌が急激に繁殖します。毎日換水し清掃することが必須です。

📌 講師のぼやき:レジオネラ菌対策を解くカギは「どこで増え、どう感染するか」

一見すると「感染対策全般」に見えて、実は2点しか問われていない!

介護福祉士試験で問われるレジオネラ症の問題は難しそうに見えますが、本質はシンプルです。「菌の生息環境」と「体内への侵入経路」という2点さえ押さえれば、選択肢の引っかけに惑わされることはありません。

① どこで増えるか? = 「温かく動かない水」

レジオネラ菌は、土壌や河川に常在する菌ですが、人工的な水環境(循環式浴槽、加湿器の貯水タンク、冷却塔など)で水が温まり、動かないまま滞留すると爆発的に増殖します。したがって、対策の核は「循環式浴槽の塩素消毒」や「加湿器の毎日の水交換・清掃」となります。

② どう感染するか? = 水系感染かつ「エアロゾルの吸入」

最大の特徴は、汚染された水を「飲む(経口感染)」でも「触る(接触感染)」でもなく、微細な水しぶき(エアロゾル)を呼吸によって肺に吸い込むことで感染する(気道感染)という点です。発症すると高齢者施設などで命に関わる「レジオネラ肺炎」を引き起こします。

💡 試験対策の必勝パターン:3つの軸で整理する

感染症対策の設問を見たら、常に「どの病原体が」「どこで増殖し」「どの経路で体内に入るか」を照合してください。「一般的に良さそうな対策(加熱やアルコール清拭)」に脊髄反射せず、病原体固有の経路と一致しているかを確かめる習慣が得点力に直結します。

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