介護福祉士国家試験の合格を目指す皆さん。
令和6年度の介護報酬改定で導入された「業務継続計画(BCP)の義務化」について、対策は万全ですか?
BCPは、「介護の基本」や「社会の理解」といった科目で、出題される可能性がある重要テーマです。 この記事では、介護福祉士国家試験対策として、BCPの基礎知識から減算のルール、さらには予想問題まで、合格に必要な情報を凝縮して解説します。
1. BCP(業務継続計画)とは?【基礎知識】
BCP(業務継続計画)とは?
大規模な災害(地震や水害など)や感染症のまん延(パンデミック)といった深刻な緊急事態が発生した際に、優先すべき重要な業務(介護サービス)を継続すること、または一時中断しても迅速に復旧させるための具体的な計画です。
義務化の背景と目的
今回の義務化は、令和6年度介護報酬改定の基本的な視点である「感染症や災害への対応力向上」および「制度の安定性・持続可能性の確保」に基づいています。
緊急時でも介護サービスを途切れさせない体制を、すべての事業所に構築することが求められています。
2. 試験に出るかも!?BCP義務化「3つの必須ポイント」
試験対策として、特に以下の3点がポイントとなります。
ポイント1:義務化の「対象」と「対象外」
BCPの策定は、原則として全ての介護サービス事業者が対象です。 ただし、例外(減算の対象外)となるサービスがあります。ここが狙われやすいポイントです。
- 対象外となるサービス
- 居宅療養管理指導
- 特定福祉用具販売
ポイント2:義務付けられた「内容」
義務化された内容は「計画を立てる」だけではありません。
- 計画の策定
- 災害時の計画
- 感染症まん延時の計画
- (※この両方の策定が必要です)
- 実施義務
- 年1回以上の研修
- 年1回以上の訓練(シミュレーション)
- (※計画を立てた上で、研修と訓練の実施までがセットで義務となります)
ポイント3:未策定の場合の「減算」
BCPが未策定の場合、介護報酬が減算されます。
- 減算の名称:業務継続計画未策定減算(新設)
- 減算の条件:感染症もしくは災害のいずれか、または両方の業務継続計画が策定されていない場合。
- 減算の単位:
- 施設・居住系サービス:所定単位数の 3/100 を減算
- その他のサービス:所定単位数の 1/100 を減算
- 経過措置:令和7年3月31日までは、減算が適用されない場合があります。
3. 【比較】BCP・非常災害対策・リスクマネジメントの違い
受験生が混同しやすい3つの項目を整理しました。それぞれの「目的」の違いを押さえましょう。
BCP(業務継続計画)
- 目的と位置づけ: 深刻な緊急事態(大規模災害・感染症)発生時に、重要業務を継続・迅速に復旧させる。
- 義務付けられている主な内容: 災害時・感染症まん延時の両方の計画策定、年1回以上の研修および訓練(シミュレーション)
非常災害対策
- 目的と位置づけ: 火災、水害、地震などの発生を未然に防ぐ予防や、発生直後の初期対応を目的とする。
- 義務付けられている主な内容: 対策計画の作成、関係機関への通報・連携体制の整備、定期的な消化・避難訓練の実施
リスクマネジメント
- 目的と位置づけ: 事故発生を未然に防止することや、発生した事故の損害を最小限に食い止めること。
- 義務付けられている主な内容: 委員会の設置、事故報告書の作成・共有、ヒヤリ・ハット事例の収集・分析
ポイント:BCPは「事業の継続」、非常災害対策は「初期対応・避難」、リスクマネジメントは「日常の事故防止」と区別しましょう。
4. 予想問題にチャレンジ!【択一式】
知識が定着したか、予想問題で確認してみましょう。
【予想問題】
次の記述のうち、令和6年度介護報酬改定により義務付けられた業務継続計画(BCP)に関するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
- BCPの策定は、施設サービス事業者に限定して義務付けられている。
- BCPは、主に災害発生直後の初期対応を目的として策定される。
- 感染症もしくは災害のいずれか、または両方の業務継続計画が策定されていない場合、基本報酬が減算される。
- BCPの策定は任意であるが、策定した場合は基本報酬に加算される。
- 居宅療養管理指導事業所においても、BCPの策定は義務付けられている。
▼ 解答と解説
正答:3
- 1(不適切):居宅療養管理指導および特定福祉用具販売を除く全サービスが対象です。
- 2(不適切):初期対応は主に「非常災害対策」の役割です。BCPは「事業の継続・復旧」が目的です。
- 3(適切):解説の通り。感染症と災害、両方の計画策定が必要であり、いずれか一方でも未策定の場合は減算対象となります。
- 4(不適切):BCPの策定は義務です。未策定の場合は減算であり、加算ではありません。
- 5(不適切):居宅療養管理指導は減算(義務化)の対象から除かれています。
5. まとめ:新しい出題範囲を制して合格へ!
今回は、介護福祉士国家試験の新しい出題範囲である「BCP(業務継続計画)の義務化」について、必須ポイントと予想問題を解説しました。
BCPのような法改正が絡む新しいテーマは、多くの受験生が対策に悩む一方で、しっかりと押さえておけば確実に得点源となる分野です。
- 減算の対象外(居宅療養管理指導・特定福祉用具販売)
- 計画(災害・感染症)+研修+訓練(シミュレーション)がセットで義務
- 未策定の場合は「減算」(加算ではない)
これらの重要ポイントを何度も見返し、知識を定着させてください。 試験勉強は大変ですが、皆さんの日々の努力が必ず実を結ぶことを信じています。
体調管理にも気を配りながら、万全の態勢で試験当日を迎えられるよう、心から応援しています!
