はじめに:実務者研修は「給与に直結する」資格
「資格を取っても給与は本当に上がるの?」
「初任者研修は持っているけれど、実務者研修を取るメリットは?」
このように感じている方は多いでしょう。結論からお伝えすると、「実務者研修」の取得は、介護職員の給与アップに最も直接的に結びつくステップの一つです。
本記事では、具体的なデータをもとに、実務者研修があなたの給与にどのような変化をもたらすのかを解説します。
1.実務者研修取得による給与の「全体平均」
厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果に基づき、実務者研修の有無による給与(月給・手当込み)の差を見てみましょう。
| 保有資格 | 月額給与総額(全体平均) | 保有資格なしとの差額 |
|---|---|---|
| 介護福祉士実務者研修 | ¥350,050 | +¥59,430 |
| 介護職員初任者研修 | ¥327,260 | +¥36,640 |
| 保有資格なし | ¥290,620 | ¥0 |
給与アップのポイント
- 資格なしとの差: 実務者研修保有者は、資格なしの方と比較して月額約59,430円高い。
- 初任者研修との差: 初任者研修保有者と比較しても、約22,790円高い給与水準。
2.サービス種類別に見る給与への影響
給与は、働く施設や事業所の種類によって大きく異なります。実務者研修の取得が、特にどの分野で大きな差をもたらすかを見てみましょう。※訪問介護事業所は資格なしの勤務不可
| サービス種類 | 実務者研修 (A) | 資格なし (B) | (A)と(B)の差額 |
|---|---|---|---|
| 全体 | ¥350,050 | ¥290,620 | ¥59,430 |
| 介護老人福祉施設(特養) | ¥372,960 | ¥303,410 | ¥69,550 |
| 介護老人保健施設(老健) | ¥363,550 | ¥305,230 | ¥58,320 |
| 特定施設入居者生活介護 | ¥373,230 | ¥286,210 | ¥87,020 |
| 訪問介護事業所 | ¥355,790 | - | - |
| 通所介護事業所(デイサービス) | ¥304,850 | ¥280,090 | ¥24,760 |
特に給与差が大きいサービス
特に、特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど)や介護老人福祉施設(特養)は、実務者研修の保有による給与差が大きく出ています。
- 特定施設: 資格なしの職員と比べ月額約87,020円の差があり、最も高い給与アップ効果が期待できます。
- 通所介護 (デイサービス): 夜勤がない事業所では、給与の差額は他の施設と比べて小さい傾向にあります。
3.実務者研修から「介護福祉士」へ
実務者研修の最大のメリットは、**キャリアアップのための通過点**であることです。実務者研修を修了し、3年以上の実務経験を積むことで、国家資格である「介護福祉士」の受験資格が得られます。
✨ 介護福祉士取得でさらなる給与アップ
介護福祉士を取得すると、給与はさらに上昇します。
| 保有資格 | 月額給与総額(全体平均) | 資格なしとの差額 |
|---|---|---|
| 介護福祉士 | ¥381,610 | +¥90,990 |
| 実務者研修 | ¥350,050 | +¥59,430 |
介護福祉士の資格手当は、施設によっては月額数万円になることもあります。また、国の処遇改善加算の恩恵を最大化し、リーダーや管理職といった昇進のチャンスも大きく広がります。
まとめ:実務者研修でキャリアと収入の安定を
実務者研修の取得は、単に資格手当を得るだけでなく、あなたの介護技術を公式に証明し、職場で高い専門性と責任あるポジションに就くための土台となります。
キャリアを安定させる3つのメリット
- 給与アップ: 資格なしから月額約6万円の昇給の可能性。
- キャリアアップ: 介護福祉士受験への必須ルート。
- 安定性: 質の高い知識とスキルは、転職や生涯キャリアの安定につながる。
給与を上げて、より長く、自分らしく介護の仕事に携わるためにも、実務者研修の取得を強くお勧めします。
