脳血管性認知症とは?まだら認知症・階段状の進行など試験に出る特徴とケア

「さっきまで普通に話せていたのに、急に様子がおかしい」
「日によってできることが全然違う」

これは脳血管性認知症でよく見られるサインかもしれません。

この記事では、現場でのケアでも、介護福祉士国家試験でも必ず役立つ「脳血管性認知症」の重要知識をわかりやすくまとめました。

この記事のまとめ(ポイント)
  • 原因:脳梗塞・脳出血などの脳卒中により発症(※アルツハイマー型と混合することもある)。
  • 最大の特徴:できることとできないことのムラがある「まだら認知症」
  • 特徴的な症状:些細なことで泣いたり怒ったりする「感情失禁」
  • 進行の仕方:脳卒中が起きるたびに段階的に悪化する「階段状の進行」
  • 予防:男性に多く、高血圧の管理・脳卒中の予防が最重要。

1. 脳血管性認知症とは?

脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など、脳血管の損傷(脳卒中)によって脳細胞が死滅し、認知機能が低下する認知症です。

脳のどの部分が損傷を受けたかによって、現れる症状が異なるのが大きな特徴です。

📌 基本データ

  • 認知症全体の約20%を占める(2.3番目に多い)
  • 男性に多い傾向がある
  • 脳卒中の後遺症として発症することが多い

2. 最大の特徴:「まだら認知症」

脳血管性認知症を理解するうえで最も重要なキーワードが「まだら認知症」です。

脳の細胞が損傷を受けた部位の機能だけが低下し、それ以外の機能は保たれることから、できることとできないことに大きなムラが生じます。

【具体的な例】
  • 今日の朝できていたことが夕方にはできない
  • 物忘れは激しいのに、難しい計算や専門的な話は理解できる
  • 日によって認知機能の状態がまったく違う
⚠️ 注意点

「まだら認知症」という名前の独立した認知症があるわけではありません。あくまで脳血管性認知症にみられる特徴的な症状(状態)のひとつです。

3. 主な症状

① 認知機能の低下(基本症状)

他の認知症と共通する症状です。

  • 記憶障害:自分が経験したことを忘れる(食事をしたこと自体を忘れるなど)
  • 見当識障害:日付・場所・人がわからなくなる
  • 実行機能障害:料理の手順がわからなくなる、家電の使い方がわからなくなる

② 感情失禁

脳血管性認知症に特徴的な症状です。
怒りや悲しみなどの感情コントロールが困難になる状態を指します。

  • 何でもないことで急に泣き出す
  • 喜怒哀楽が激しくなる
  • 表情が乏しくなる(抑うつ状態)

自分でも「できることとできないことのギャップ」を自覚していることが多く、それに対する葛藤から感情失禁が生じることもあります。

💡 ケアのポイント

感情の波を責めず、まず気持ちを受け止めることが大切です。「つらいですね」と共感することが関係づくりの基本となります。

③ 脳の損傷部位による随伴症状

脳血管が損傷した場所によって、主となる症状に伴って以下のような副次的な症状が現れることがあります。

  • 言語障害(言葉が出にくくなる・理解しにくくなる)
  • 運動機能障害(麻痺・歩行困難)
  • 嚥下障害(食べ物を飲み込みにくくなる)
  • 感覚麻痺(しびれ・感覚の鈍化)

4. 進行の仕方:「階段状」に悪化する

アルツハイマー型認知症が緩やかに直線的に進行するのに対し、脳血管性認知症は「階段状」に進行するという特徴があります。

脳卒中が起きるたびに症状が急に悪化し、その後しばらく安定するというパターンを繰り返します。

💡 重要なポイント

再発を防ぐことが進行を抑える最大のカギです。高血圧・糖尿病・心房細動などの身体的な疾患の管理が非常に重要になります。

5. アルツハイマー型認知症との違い

試験対策としても、現場でのケアの視点としても、最も多いアルツハイマー型との違いを比較して整理しておくことが大切です。

項目 脳血管性認知症 アルツハイマー型認知症
主な原因 脳梗塞・脳出血などの脳卒中 アミロイドβなどの蓄積による脳の萎縮
進行の仕方 階段状に進行
(急な悪化と維持を繰り返す)
緩やかに進行
(なだらかな下り坂)
特徴的な症状 まだら認知症、感情失禁 記憶障害、取り繕い行動
性別 男性に多い 女性に多い

6. 予防のポイント

脳血管性認知症は、脳卒中を予防することがそのまま認知症の予防につながります。
リスク因子として特に重要なものは以下の通りです。

  • 高血圧(最も重要なリスク因子)
  • 糖尿病
  • 脂質異常症(高コレステロール)
  • 心房細動
  • 喫煙

💡 生活習慣のポイント

塩分・コレステロールを控えた食事、適度な運動、禁煙が基本です。特に高血圧は自覚症状がないまま進行することが多いため、「サイレントキラー」とも呼ばれており、日々の血圧管理が不可欠です。

7. ケアの視点:現場で大切にしたいこと

まだら認知症への対応

できることとできないことの波があっても、「昨日できたのになぜ今日はできないの」と責めないことが大切です。その日の状態に合わせて柔軟に介助量を調整し、できることは本人に任せるという姿勢が自尊心を守ります。

感情失禁への対応

感情のコントロールが難しい状態であることを理解し、泣いたり怒ったりしても否定しません。落ち着くまで側にいて、「つらいですね」「よかったですね」と感情に寄り添います。

嚥下障害への対応

嚥下障害がある場合は、食事形態の工夫(とろみ・刻み食など)が必要です。食事中の姿勢・スピード・一口量にも細心の注意を払います。

8. 【試験対策】介護福祉士試験でよく出るポイント

最後に、試験で狙われやすいキーワードをおさらいします。

  • ① まだら認知症
    →「できることとできないことにムラがある」「脳血管性認知症の特徴的症状」
  • ② 発症・進行パターン
    →「脳卒中後に急激に発症」「階段状に進行」
  • ③ 感情失禁
    →「些細なことで泣いたり怒ったりする」「脳血管性認知症の特徴」
  • ④ 性差
    →「男性に多い」(アルツハイマー型は女性に多い)
  • ⑤ 予防の柱
    →「高血圧の管理など、脳卒中の予防が最重要」

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