介護福祉士国家試験「パート合格制度」とは?
第38回導入の仕組みをわかりやすく解説
介護福祉士国家試験に新しい制度が導入されました。「パート合格(合格パートの受験免除)」と呼ばれるこの仕組みは、一部の科目群だけ基準を満たした受験者が、翌年以降その部分の受験を免除される制度です。厚生労働省と試験センターの公式資料に基づいて正確に整理します。(読了目安:約8分)
💡 まず押さえておきたい3つのポイント
- 制度自体は第38回(令和8年1月実施)から導入されましたが、第38回は制度導入初年度のため、受験者全員が全パートを受験します。
- 実際に「不合格だったパートだけを受験する」という選び方ができるようになるのは、第39回試験からです。
- パート合格はあくまで一部パートの受験免除であり、パート合格の時点で介護福祉士資格が得られるわけではありません。
1. パート合格制度の正式名称と法的根拠
厚生労働省・試験センターの公式文書で一貫して使われている表現は「パート合格(合格パートの受験免除)」です。制度の検討は「介護福祉士国家試験パート合格の導入に関する検討会」で行われ、報告書は令和6年9月24日にまとめられました。その後、実施方法を示す厚生労働省通知(社援発0527第3号、令和7年5月27日付)が発出されています。
法的な位置づけとしては、介護福祉士国家試験そのものは社会福祉士及び介護福祉士法第40条第2項第5号に基づいて実施され、受験申込書の様式は同法施行規則第24条・様式第五で定められています。
厚労省通知では、第39回の受験申込手続からパート選択欄を設けるため施行規則を改正する予定であることが明記されていますが、改正後の条文そのものは今回確認した資料の範囲では未確認です。「改正予定が通知で示された」段階として理解しておくのが正確です。
2. 3つのパート構成と配点
試験は3つのパートに分かれています。合計は125点で、配点は1問1点です。
| パート | 配点 | 含まれる科目群 |
|---|---|---|
| Aパート | 60点 | 人間の尊厳と自立、介護の基本、社会の理解、人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術、生活支援技術 |
| Bパート | 45点 | こころとからだのしくみ、発達と老化の理解、認知症の理解、障害の理解、医療的ケア |
| Cパート | 20点 | 介護過程、総合問題 |
3. 合格基準点は毎年固定ではない
第38回試験の合格基準は、総得点125点に対して64点以上、かつ11科目群すべてで得点があることでした。パート別の基準点は、Aパート32.23点、Bパート20.43点、Cパート11.33点です。
📌 重要なポイント
この数値は第38回限りの実績値です。パートごとの基準点は、全体の合格基準点をその年の全受験者の平均得点比率で按分して算出される仕組みのため、毎年変動します。「Aパートは32点取れば合格」といった形で固定的に覚えるのは誤りです。
4. パート合格になる条件と有効期限
総合で不合格になった受験者のうち、各パートの合格基準点以上を得点し、かつそのパートを構成する科目群すべてで得点がある場合に、そのパートが「パート合格」となります。総合合格の基準(11科目群すべてで得点)と同様に、パート内でも無得点科目群があると、そのパートは合格になりません。
パート合格の有効期限は、受験年の翌々年までです。たとえば第38回でAパートに合格した場合、第39回・第40回まで免除の対象になります。この期限が「翌年限り」ではなく「翌々年まで」に設定されているのは、介護報酬改定など制度変更に対応した知識を身につける必要性を踏まえた措置とされています。
5. 免除申請の手続きと注意点
第39回試験では、第38回でパート合格に該当した受験者に限り、申込時に「全パート受験」か「不合格パートのみ受験」かを選択できます。第39回で初めて受験する人や、第38回で合格パートがなかった人、前回受験が第37回以前の人は、いずれも全パート受験となります。第37回以前の試験結果ではパート受験はできません。
- 受理後の選択変更はできません。
- 不合格だった複数パートのうち、一部だけを選んで受験することはできません(例:B・C不合格の場合、次回はB・C両方かA・B・C全部のいずれかで、Cだけの受験は不可)。
- 受験手数料は、全パート受験でも不合格パートのみ受験でも同額です(第39回:20,510円)。
申込方法・スケジュール(第39回の例)
第39回試験の申込方法は、試験センターホームページのインターネット受験申し込みのみです。郵送での申込みはありません。
令和8年7月22日(水)〜9月2日(水)
令和8年12月11日(金)
令和9年1月31日(日)
令和9年3月23日(火)HP掲載 / 3月26日(金)結果通知発送
⏱ 試験時間はパートの組み合わせで変わります
全パート受験は午前(Aパート)・午後(B・Cパート)の通し受験ですが、「Aパートのみ」なら午前のみ、「Bパートのみ」「Cパートのみ」なら午後のみ、「B・Cパート」なら午後通しなど、選択した組み合わせに応じて当日の試験時間が設定されます。
6. 総合得点判定とパート合格判定の関係
まず全パートの総得点で国家試験の合否が判定され、総合不合格になった場合にのみ、パートごとの合否が判定されます。
つまり、総合合格した人にさらにパートごとの基準を重ねて適用するものではなく、「総合合格」と「各パート合格」を両方満たす必要があるわけではありません。
7. 第37回・第38回の実施結果比較
| 項目 | 第37回(令和7年1月実施) | 第38回(令和8年1月実施) |
|---|---|---|
| 受験者数 | 75,387人 | 78,469人 |
| 合格者数 | 58,992人 | 54,987人 |
| 合格率 | 78.3% | 70.1% |
| 総合合格基準点 | 70点 | 64点 |
合格率は78.3%から70.1%に下がっていますが、この変化を「パート合格制度導入の影響」とそのまま結びつけるのは適切ではありません。合格基準点は毎年の問題の難易度によって補正されており、第38回は制度導入初年度で全員が全パートを受験した年でもあるため、複数の要因が絡んでいます。
8. よくある誤解
- 「パート合格=介護福祉士資格を取得した」ではない
パート合格者は、あくまで一部パートの受験を免除された状態にすぎません。介護福祉士となる資格を得るには、最終的に全パートで合格基準を満たす必要があります。 - 「第37回以前の結果でもパート受験できる」は誤り
パート受験が可能なのは、第38回以降の受験結果を持つ人に限られます。 - 「不合格パートのうち1つだけ選んで受けられる」は誤り
不合格だったパートが複数ある場合、その一部だけを選んで受験することはできません。 - 「一部パートだけ受験すれば受験料が安くなる」は誤り
全パート受験でも不合格パートのみ受験でも、受験手数料は同額です。
9. よくある質問(FAQ)
Q. 一部のパートだけ合格した場合、次回はどこを受験すればよいですか?
👉 不合格だったパートをすべて受験するか、全パートを再受験するかのいずれかを選びます。不合格パートの一部だけを選ぶことはできません。
Q. パート合格の有効期間中に制度が変わったらどうなりますか?
👉 現時点では公式な回答は確認できていませんが、有効期限が「翌々年まで」と設定されているのは、介護報酬改定などの制度変更に対応する必要性を踏まえた設計とされています。
Q. 独学の場合と、講座を受講する場合で対策は変わりますか?
👉 この点についての公式な指針は示されていません。制度の趣旨としては、不合格だったパートの学習に翌年以降の学習時間を集中できるという点が挙げられています。
Q. 実務者研修を修了していれば、パートの一部が免除されますか?
👉 実務者研修の修了は、あくまで受験資格を得るための要件であり、パート合格制度(試験後の再受験範囲の免除)とは別の仕組みです。両者を混同しないよう注意してください。
本記事は、厚生労働省通知(社援発0527第3号)、介護福祉士国家試験パート合格の導入に関する検討会報告書、介護福祉士国家試験センターの公式案内・Q&A・合格基準資料に基づいて作成しています。制度の詳細は今後変更される可能性があるため、受験を予定されている方は最新の公式発表をご確認ください。
正確な情報を確認して試験に備えよう!
制度の詳細は今後変更される可能性があります。
受験に必要な最新情報は、必ず試験センターの公式サイトをご確認ください。
